データ分析者にとって、原則無償で公開されているデータは宝の山といえます。アレオン代表がデータサイエンススクールの卒業分析で選んだのが、http://insideairbnb.com/ というサイトで、ここでは民泊が与える不動産市場への影響等を分析するために民泊WEBサイトから世界の主要都市について定期的なデータ収集を行っています。
分析の内容は1万室を超える東京の民泊提供の部屋を、運営形態や予約率から、K-Meansという方法で3つのグループへクラスタ分けを行い、回帰分析で各グループが予約率を上げる方法を見つけ出す、というものでした。
偶然、このとき使用したのがコロナ以前で、オリンピックに向けて民泊が大きく伸長していた2019年11月で、今回、コロナの影響がどの程度あるか、2021年3月のデータとの比較を行いました。
総件数では2019年11月には10690室が掲載されていましたが2021年3月は15%減少した9119室となっています。3つのクラスタのうち、「B民泊」で括ったのは、空室を多く抱えたグループで、特に減少しています。対して管理物件数が平均90室程度で括られる不動産賃貸業として掲出されている室数と、空室を多く抱えないA民泊のグループは微減にとどまります。
空室数はA民泊と不動産業のグループでは、コロナ禍後は減らしてきています。
料金は予想通り低下していますが、とくに平均90部屋を抱える不動産業のグループは2019年29,000円から2021年8100円へ劇的に低下しました。
一言でコロナ禍での苦境、として片づけるのでなく空室を出さずに大幅な価格調整を行い適応している不動産業のグループ、管理物件10室程度の民泊業者でも、価格調整しながら空室を埋めているA民泊のグループが存在していることがわかります。
一方でB民泊のグループはインバウンドブームに乗った「にわか民泊」として淘汰されてしまっているのが実情のようです。
米国に比べて日本のオープンデータは質・量ともに発展途上ですが粒度の細かい、いわゆるビッグデータが多く公開されてくることを願っています。